蔵内では寒造りが続いています。
本日は、酒造好適米『山田錦』の手洗いによる洗米・浸漬作業を行いました。特に重要になるのが、酒米に目的とする水分を吸わせることです。一般的には高精米(磨いてあるお米)である程、水分の吸着が早くなります。勿論、米の水分量もそれぞれ異なりますし、高温障害が起こった年は米が割れやすい等、なかなか一筋縄ではいかない非常に難しい作業工程の一つになります。
例えば…本日処理をした契約栽培の山田錦(精米歩合48%)の場合です。
今日の作業時の水温は7.1℃でした。例年よりも高めではありますが、ここ数日の冷え込みで徐々に水温が下がってきています。水温が下がる程、水分の吸着は遅くなりますので、注意が必要となります。酒米水分計で作業前の白米を計測したところ、酒米水分は9.8%と少し低めの値になっていました。そこで、今回は麹米にするのが目的なので、目標とする浸漬時の水分は32.8%と設定しました。手洗い⇒水切り⇒手洗い⇒水切り⇒手洗い⇒水切り⇒手洗い⇒水切りと十分に米の糠を落とした後、水を張って浸漬させます。令和5酒造年度のこれまでの傾向や過去の結果を元に、浸漬時間は9分と設定しました。少し手前の時間から、目で判断しながら、慎重に水を切るタイミングを見計らっていきます。結果としては、想定した通りに丁度9分の浸漬時間で目標とする水分を吸わせることが出来ました。影響する要素が非常に多いので、洗米の工程や水温を一定にする等なるべく同じ環境にして作業をすることが大切になってきます。
丁寧な原料処理が高品質なお酒を造る為にはとても大切な作業となります。
(六代目蔵元)